ほうれい線じゃない「口横ドレープしわ」とは|JANPD新分類

Uncategorized 用語集(glossary)

「口横ドレープしわ」とは|JANPD公式定義|ほうれい線じゃない新概念|G-001
Japanese Academy of Nasolabial Perioral Drape
G-001 / Glossary / Foundational
GLOSSARY | JANPD FOUNDATIONAL DEFINITION

ほうれい線じゃない
「口横ドレープしわ」とは
JANPD公式定義|Foundational Concept Document

CODEG-001
CATEGORYGlossary / 用語集
STATUSFoundational Definition
AUTHOR院長 みにょん(宋珉英), MD
★ DEFINITION | JANPD G-001
口横ドレープしわ
Perioral Drape Wrinkle (PDW)

口横ドレープしわとは、従来の「ほうれい線」概念では捉えきれない、口角周囲〜頬下部に カーテンが垂れ下がる(drape)ように出現する皮膚たるみ現象である。日本ほうれい線・口横ドレープ研究会(JANPD)が 2026年に公式に提唱した臨床概念であり、本会の3軸分類体系・診断アルゴリズム・治療選択原則すべての 基盤となる foundational termである。

SECTION 01

「ほうれい線」と「口横ドレープしわ」── 同じではない

日本の美容医療臨床において、長年 「ほうれい線」は鼻翼の外側から口角に向かう 溝(sulcus)を指す解剖学的用語として用いられてきた。しかし、実臨床における「ほうれい線」主訴の患者群を詳細に分析すると、その病態の 少なくとも30〜40%は「溝」ではなく「ドレープ」である。すなわち、頬の皮膚が カーテン状に垂れ下がる現象として口横周囲に皺を形成しているケースである。

この発見は、JANPDの臨床的端緒であった。「ほうれい線」というラベルで一括りにされてきた皺の中に、機序的に全く異なる二つの病態が混在していたのである。一方は古典的なほうれい線(鼻唇溝)、もう一方は 口横ドレープしわ(perioral drape wrinkle)である。

従来の「ほうれい線」 口横ドレープしわ(JANPD新分類)
英語表記 Nasolabial Fold (NLF) / Nasolabial Sulcus Perioral Drape Wrinkle (PDW)
本質 解剖学的な溝(structural sulcus) 皮膚のドレープ現象(drape phenomenon)
主たる病因 脂肪・骨格・上唇挙筋付着部 皮膚弾性低下+支持構造の喪失
好発年代 若年〜中年(先天的に強い者も) 中年期以降(皮膚弾性低下後に顕在化)
主たる治療 ヒアルロン酸注入(容積補充型) 皮膚引き締め+皮膚補充(容積補充は禁忌)
ヒアル注入の影響 改善する(適応) 悪化する(非適応)

この表が示す 最も臨床的に重要な相違点は、最下段── 「ヒアル注入の影響」である。同じ「ほうれい線」主訴でも、解剖学的なほうれい線(NLF)にはヒアルロン酸が有効である一方、口横ドレープしわ(PDW)にヒアルロン酸を入れると悪化する。これは美容医療臨床における重大な認識上の盲点であり、JANPDが「ヒアル非適応原則(G-008)」として明文化した臨床原則の根拠でもある。

SECTION 02

解剖学的範囲|Anatomical Definition

口横ドレープしわの解剖学的範囲は、以下のように定義される:

  • 上方境界:鼻翼外側下端(nasolabial sulcus 上端付近)
  • 下方境界:下顎縁(口角下方〜下顎縁ライン)
  • 内側境界:口角部の口輪筋外縁
  • 外側境界:頬中央部の脂肪コンパートメント外縁(roughly the ZMM line)
  • 深達度:表皮〜真皮〜浅層脂肪層(superficial fat compartment)まで及ぶ 多層的な現象

ほうれい線(NLF)が 一本の線状溝であるのに対し、口横ドレープしわは 一定の面積を持つ皮膚の「波打ち」現象である。これが「ドレープ(カーテンの垂れ)」という命名の由来である。

SECTION 03

病態機序|Pathophysiology

口横ドレープしわは、以下の三層構造の 同時的な機能喪失から生じる:

① 表皮〜真皮層:弾性線維・コラーゲンの加齢性変性

UV・加齢・酸化ストレスにより、真皮内のエラスチン・コラーゲン繊維が断片化し、皮膚の戻る力(recoil capacity)が低下する。この段階では 口横ドレープしわは「皮膚由来」優位として現れる。

② 浅層脂肪層:脂肪コンパートメントの萎縮と下垂

頬中央の medial cheek fat compartment が萎縮し、口角周囲の支持を失う。さらに重力により下垂すると、皮膚が「波打ち」状に余り、ドレープ現象が顕在化する。

③ SMAS・支持靱帯層:retaining ligament の弛緩

頬部の zygomatic retaining ligament および masseteric retaining ligament が弛緩することで、皮膚の支持構造そのものが破綻し、ドレープが固定化(静止型・S型へ移行)する。

★ MECHANISTIC SUMMARY

口横ドレープしわは「単一原因の皺」ではない

本概念の臨床的価値は、口横ドレープしわが 「脂肪のみ/皮膚のみ/支持構造のみ」では説明できない複合病態であることを明示した点にある。これにより、単一介入(例:ヒアルロン酸単独)では治療できない理由が機序的に説明される。

JANPDではこの複合性を、後述の 3軸分類学(G-004)二重病態理論(G-009)として体系化している。

SECTION 04

診断基準|Diagnostic Criteria

口横ドレープしわは、以下の C01〜C05 の所見を満たす場合に診断される。

  • C01|口角〜頬下部に「面状」のたるみが存在する──線状溝のみの場合は除外(古典的ほうれい線)
  • C02|安静時にも皮膚の「波打ち」が観察される──静止型(S型)。動的のみ出現する場合は Pre-Drape(G-007)扱い
  • C03|上方からの皮膚を指で持ち上げると改善する──支持喪失型の確認。改善しない場合は溝型(NLF)を疑う
  • C04|過去にヒアルロン酸を注入していても改善が乏しい/むしろ悪化している──ヒアル非適応サイン(G-008 参照)
  • C05|Minyoung E-Sign(Eテスト)が陽性──イー発音時に縦皺が新規出現する所見(詳細は G-002 参照)

これら C01〜C05 のうち 3項目以上を満たす場合、口横ドレープしわの診断が確定する。2項目以下の場合は移行期(Pre-Drape)または古典的ほうれい線の可能性を再評価する。

SECTION 05

臨床的意義|Clinical Significance

口横ドレープしわ概念の確立により、以下の臨床的進展がもたらされた:

① 「治らないほうれい線」現象の説明

従来「ヒアルロン酸が効かない/何度入れても消えない」と表現されてきた臨床現象は、その症例の 真の病態が PDW(口横ドレープしわ)であったと解釈できるようになった。これにより、患者・医師双方の臨床認識が刷新される。

② 治療選択の根本的転換

NLF(古典的ほうれい線)には容積補充(ヒアルロン酸)が機序整合的であるのに対し、PDW には 引き締め+皮膚補充が機序整合的である。具体的には、ソフウェーブ(HIFU)による組織引き締め+エラビエリトゥオ(皮膚補充型製剤)の組み合わせが第一選択となる。

③ 「ヒアル非適応原則(G-008)」の理論的基盤

PDW 概念の確立により、ヒアルロン酸が「使わない方が良い症例群」の存在が明確化された。JANPDではこれを 「ヒアル非適応原則」として明文化し、臨床ガイドラインに位置づけている。

④ 患者の自己診断ツールの提供

PDW の診断基準を一般患者向けに簡略化したセルフチェック法として、Minyoung E-Sign(Eテスト)が確立された。これにより、患者は自身の主訴が NLF か PDW かを大まかに判別でき、適切な治療を受けるための初期スクリーニングが可能となる。

SECTION 06

JANPD体系における位置づけ

口横ドレープしわ(G-001)は、JANPD グロッサリーの foundational definition(基礎定義)であり、以下の関連用語・原則・分類学はすべて本概念を 前提として構築されている。

SECTION 07

命名の由来|Etymology

ドレープ(drape)」は、もともと服飾・建築分野で 布が重力により自然に垂れる現象を指す用語である。皮膚科臨床において、加齢に伴う皮膚の「垂れ」現象を表す比喩として、JANPD設立者である院長 みにょん(宋珉英)が初めて美容医療臨床に導入した。

本用語の臨床的価値は、患者の 視覚的・直感的理解に親和する点にある。「ほうれい線」という用語が 溝(線)を想起させるのに対し、「口横ドレープしわ」は 布の垂れを想起させる。この想起の違いが、患者の病態理解・治療選択の妥当性向上に寄与する。

2026年5月、本概念は JANPD(日本ほうれい線・口横ドレープ研究会)の foundational glossary G-001 として正式に文書化された。同時期に、東京で開催された ASLS Tokyo 2026 において、本概念および付随する E-Sign Test が国際的に発表された。

SECTION 08

関連文献・参考資料|References

  • JANPD Official Charter (2026)|日本ほうれい線・口横ドレープ研究会 設立綱領
  • Minyoung S. (2026). Perioral Drape Wrinkle: a novel clinical entity distinct from classical nasolabial fold. ASLS Tokyo 2026 Proceedings.
  • JANPD G-002|Minyoung E-Sign Definition
  • JANPD G-004|Three-Axis Classification System
  • JANPD G-008|Hyaluronic Acid Non-Indication Principle
  • JANPD G-009|Dual Pathology Theory
  • JANPD G-010|Multi-Layer Intervention Theory
  • JANPD D-010|Case Accumulation Doctrine
DISCLAIMER / 免責事項
本定義文書は医師・専門職向けの臨床概念共有を目的としており、特定の患者に対する治療方針を指示するものではない。「口横ドレープしわ」概念および JANPD 3軸分類体系は、本会の臨床研究および症例蓄積に基づく 提唱概念であり、本会以外の臨床家による検証・批評・改良を歓迎するものである。本概念に基づく治療選択は、各医師の責任のもと、患者個別の病態評価に基づいて判断されるべきである。

Related post